田無神社の文化財
拝殿について
建築年 明治8年(1875年)
建築年 明治8年(1875年)
拝殿は明治8年の建築で、造営は地元大工の髙橋金左衛門、中村儀右衛門、尾林勘次郎によるものです。
拝殿の彫刻群の美しさは、本殿のそれに迫るものであり、おそらく嶋村俊表を意識して造営されたものと推測されます。とりわけ、向拝、脇障子の彫刻は、大胆且つ繊細で美しく素晴らしいものです。また、拝殿左右の木鼻の角と翼を持った龍の彫物の精巧さには驚かされます。向拝とは社殿の屋根の中央が前方に張り出した部分を指します。脇障子とは回り縁の終端に設けられた、つい立て状の仕切りを指します。
拝殿内の欄間に、春夏秋冬それぞれの季節がテーマになった彫刻があります。春の彫刻は書初めの様子が彫られています。夏の彫刻に牡丹の花が彫られています。秋の彫刻には祭りの山車ひきの様子が彫られています。冬の彫刻には唐子たちが犬型の雪だるまを作っている様子が彫られています。
地元大工が携わった拝殿内の彫刻群には、それぞれ1つ1つに奉納者名が記されています。本殿は神様がお鎮まりになる場所であり、拝殿は地域の人々が神様に感謝し拝む場所です。本殿の建築は幕府の官工の俊表が、拝殿は地元の匠人が手がけたことには当時の人々の強い思いがあるのではないでしょうか。拝殿の造営は、地域の繋がりの強さ、人々の信仰心の深さ、地域の大工技量が高い水準であることを表しています。