西東京市をはじめ全国の皆さまから数多くの作品(応募総数82作品)が寄せられました。
その作品を漫画家クロマツテツロウ氏、切絵作家小出蒐氏による選考委員会にて厳正な審査を行い入賞4名、入選20名を選出いたしました。
「田無神社絵馬の奉製」
入賞者4名の作品を令和4年(2022年)田無神社絵馬デザインとして採用し、お正月の前後に絵馬として奉製(4体合計4800体)いたします。
10月4日(月)13時から10月8日(金)16時までの間、アスタ2階「センターコート」にて田無神社絵馬デザインコンテスト入賞作品ならびに入選作品の展示会を開催いたします。
※田無ASTA(アスタ)へのアクセスはこちらをご確認ください。
漫画家
クロマツテツロウ氏
奈良県出身。
東京を拠点に漫画家として活動。書籍『野球部あるある』シリーズでは一コマ漫画を手掛けている。現在は「グランドジャンプ」(集英社)にて『ドラフトキング』を連載中。
トラは構図が十人十色であり、昨年よりも描きやすかったのではないか。動きのある作品が多い。入選作品を見ると今年はハイレベルなコンテストになった。入賞作品は、頭一つ、二つ抜け出ていた。決定的な差は、色使いと構図である。デッサンが多少狂っても迫力のある方が良い。トラを下から見たアングルの方が迫力が出るが、今回は引きで太陽をバックにしたものが多く迫力に欠けた印象があった。
大賞
しっかりしたデザイン力のある作者だ。トラの骨格がうまく表現されているのを一番評価する。色使いが上手で、14歳の作品とはとても思えない。PCで書かれていると思うが、色の散らし方がハイセンスで、巧みに使われている。デザインっぽいけれど、デジタルならではの冒険心を感じる作品だ。将来が楽しみな作品である。
金賞 クロマツテツロウ賞
一見ささっと書いたようだが、とても繊細に描かれている。主線が筆ででも描いたような迫力を持っている。色使いがうまくコントロールされていてセンスを感じる。太陽も存在感がある。尻尾の構図とかトータルバランスがカッコいい。この絵馬ほしいと思った。
J:COM賞
子供の感性はすばらしい。これだれ金色を敷き詰める世界観がすごい。トラが迫力あって生き生きしていて良い。金色をこれだけ使ったのは、子どもらしからぬ面白い感性を持っているということだ。色のコントラストのバランスが良く、とても8歳の作品とは思えない。
来年のコンテスト(卯年)へのアドバイス
世の中が暗くなっているので、明るい、元気が出るような絵を期待したい。
自分が漫画家なのでマンガ的なものもあっていい。集中線、スピード線が入っている作品もありだ。絵馬にマンガが進出しているものもみてみたい。
切り絵作家
小出 蒐氏
西東京在住の切り絵作家。
妖艶さを帯びた凛とした女性像の切り絵を得意とする。著書〜作品集 琥珀艶の光と影、平家物語絵巻の制作中 等 朝日新聞のカレンダー(西東京市内の名所旧跡など)日本で初の切り絵によるアニメ制作〜放映(日本の昔ばなし)個展〜ニューヨーク日本ギャラリー、東京芸術劇場など多数。
初めて応募した方、一人で何点か応募した方、いろいろな方が参加したコンテストであり、実りあるコンテストだった。昨年に比べレベルは確実に上がっている。トラというとアニメやマンガっぽいものが多いのではと思っていたが、アニメに引きずり込まれず、皆さん自分の作品にしている感じが出ている。もう少し迫力のあるトラが多いかと思っていたが、そこまでのことはなく、迫力のある絵は多くなかった。既存の絵や写真に囚われず、自分で迫力のあるトラの線を作っていくことが大切だ。スケッチはしなくていい。想像でいい。デッサンが狂ってもいい。トレースではない作品を作ってほしい。うまいのに、自分がそのように思ったことから崩している作品がある。そこから迫力が生まれてくる。個性に結び付いた作品からは迫力を感じる。これからの若い人に期待したい。デッサン力がないからやめようとか考えないこと。うまいとか、下手とかに囚われてはいけない。プライドも関係ない。重要なのはアイデアとか、絵に対する情熱だ。
大賞
玄人っぽく、プロではないかと思うほどだ。将来世界的な芸術家になっているかもしれないと思わせるほどの才能を感じる作品である。デッサン力がこれまでのこのコンテストではみられないほど優れている。トラと太陽のテーマだが、バランスが面白い。背景が太陽となり、トラの色との対比のバランスが取れている。背景に太陽があることでトラが浮き上がって見える。また、トラの表情が猛々しく、いい顔をしている。絵馬にしたら映える迫力ある絵だ。ともすると、トラは黒い線が強調されがちだが、そこを抑えて白とかで輪郭をとっていて面白い。
金賞 小出 蒐賞
デザイン的なセンス、色使い、女性的な優しさも絵馬そのものにデザイン的な優雅さを感じる。これまでにない絵馬となると思う。トラの線を強調しなくても色使いでトラとわかる。デザイン的な面が非常にいい。手前の椿があることで、雪解けと椿となり、春への期待、春の待ち遠しさが込められている。干支と春に早く暖かくなれと期待する絵馬になる。
J:COM賞
8歳の作品だが、トラが生き生きしている。トラと雲と太陽のいいデザインのバランスだ。一見、無鉄砲だが迫力がある、非常に好きな作品だ。今回二度目の受賞だが前回よりもうまくなっている。
来年のコンテスト(卯年)へのアドバイス
ウサギというと白ということに囚われなくていい。花びら模様とか、服を着せるとか、色をつけてもいい。ウサギはこういうものだということを変える方法を考え、新しいウサギを提案してほしい。日本は昔からおとぎ話でもウサギが良いキャラクターとして登場しているが、各自で物語を作りながらでもいいから現代の新しいウサギを作ってほしい。
全国から集まった多くの応募作品のなかから
選ばれた力作をご覧ください。