西東京市をはじめ全国の皆さまから数多くの作品(応募総数252作品)が寄せられました。
その作品を9月9日(水)に漫画家クロマツテツロウ氏、切絵作家小出蒐氏による選考委員会にて厳正な審査を行い入賞4名、入選20名を選出いたしました。
「田無神社絵馬の奉製」
入賞者4名の作品を令和3年(2021年)田無神社絵馬デザインとして採用し、お正月の前後に絵馬として奉製(4体合計4800体)いたします。
10月1日(木)13時から10月8日(木)16時までの間、アスタ2階「センターコート」にて田無神社絵馬デザインコンテスト入賞作品ならびに入選作品の展示会を開催いたします。
※田無ASTA(アスタ)へのアクセスはこちらをご確認ください。
漫画家
クロマツテツロウ氏
奈良県出身。
東京を拠点に漫画家として活動。書籍『野球部あるある』シリーズでは一コマ漫画を手掛けている。現在は「グランドジャンプ」(集英社)にて『ドラフトキング』を連載中。
アマビエというテーマのせいかも知れないが、イラストっぽい作品が多くて楽しく審査ができた。アナログとデジタルとの対比でいうとデジタルの精度が上がってきている。若い方の応募が多く、心が揺れた。作品の色味が美しく、元気な作品が多かった。全体のレベルが上がってきている。
画材として、薄い応募用紙に描くのも大変だったろう。今回の応募作品の中に画用紙を使っているものがあったがよい試みだ。いろいろな紙を使ってみてほしい。
大賞の作品は、正直に言うともう一つ候補作品があり、たいへん迷った。アナログとデジタルの作品の割合いが拮抗してきている。もう一つの候補作品はデジタル作品だったが、アナログの作品の方がタッチが個性的でうまくまとまっている。楽しんで描かれていること、工夫していることがわかる作品である。太陽を白の空間で表現したところにものすごい才能を感じた。
金賞(クロマツ賞)については、迷わずに即断できた。デジタル作品であるが、よく描けている。アマビエをポジティブに描き、気持ちが明るくなる作品だ。他の作品は太陽を描くのに苦労してものが多く見受けられるが、この作品は光の処理だけで太陽を表現しているのは素晴らしい。
J:COM賞は、過去3回の小学生以下の作品をみていると、想像力の豊かさを感じる作品が多くて驚かされた。今回はアマビエという子どもたちにはあまり馴染みのないテーマだったから難しかったかもしれない。選んだ作品は、子供らしさが色の使い方に出ており、元気の出る作品だ。暗いニュースばかりの世の中をパッと明るくしてくれるようだ。
来年の干支の寅については、漫画家でも動物を描くのは難しい。大胆に描くこともできる。それから形を捉える手法もある。また、毛並みをどう表現するかも重要なポイントだ。表情を描く前に骨格をどう正確に描くか。骨格を崩さずにコミカルに描くか、具体的にするか、その選択を楽しみたい。寅は動くイメージがあり、体の可動域が広いので、いずれにしても寅を描くのは難しいと思う。
切り絵作家
小出 蒐氏
西東京在住の切り絵作家。
妖艶さを帯びた凛とした女性像の切り絵を得意とする。著書〜作品集 琥珀艶の光と影、平家物語絵巻の制作中 等 朝日新聞のカレンダー(西東京市内の名所旧跡など)日本で初の切り絵によるアニメ制作〜放映(日本の昔ばなし)個展〜ニューヨーク日本ギャラリー、東京芸術劇場など多数。
作品を制作する前に皆さんアマビエを見ていると思うが、見ているものからオリジナルなものを描けるかに注目していたが、オリジナリティの豊かなものが多くてよかったと思う。これからも自分なりのオリジナルな作品を作ってほしい。
全体的な作品の印象としては、パステルカラーの作品が多かったが、絵馬にしたときにコントラストがでない。また、細い線が多かったので、線の使い方にも注文をつけておきたい。
大賞については、アマビエは暗いイメージがあるが、大賞の作品はパッと明るくなっている。作品は捉え方で明るく華やかな絵になる。コロナウイルス感染症を克服する力を発揮してくれそうである。それに加えて、緻密な線づかいと女性らしい柔らかさが感じられる絵である。
金賞(小出賞)の作品は、一見おどろおどろしい妖怪に見えるが、よくみるとユーモアを感じるかわいい妖怪であり、年配の方の作品だがユニークな作品である。
J:COM賞は、かわいらしさが丁寧に描かれているホノボノした作品である。
来年の干支は寅であるが、寅は描くのは難しい動物。縞模様をどう表現するか。縞模様に翻弄されて全体を見失う恐れもある。全体をきちっと書いてから縞模様を乗せるのも手である。また、迫力のある絵を描けるかどうか。自分が描きたい表情と自分の力量との見極めが必要になる。自分の力量以上に背伸びしないことが大切だ。技法も切り絵や貼り絵などいろいろな技法があっていいし、いろいろな作風に期待したい。置物のように描くか、躍動的に描くか。今回までなかったストーリー性があってもいい。
歴史的なもの、物語性のある内容も楽しい。
全国から集まった多くの応募作品のなかから
選ばれた力作をご覧ください。